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COLUMN コラム

2023.11.29

~ 始まる第4期 ~ 特定健診・特定保健指導 見直しのポイント

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iD-Heartコラム担当

医療情報技師、マーケティング担当が執筆します。

厚生労働省は2024年度(令和6年度)から始まる、第4期となる特定健診・特定保健指導に関する基準を改正し、ホームページ上に「手引き」として情報を公開しました。
「手引き」では円滑な実施に向け、保険者や健診・保健指導を行う施設が留意すべき点について述べています。

本コラムではこれまでの内容と公開された新たなポイントについてまとめています。

特定健診とは

平成20年(2008年)4月から始まった制度です。
40歳以上74歳以下の方を対象に、メタボリックシンドロームに着目しています。
正式名称は「特定健康診査」、別名では「メタボ健診」とも呼ばれています。
医療保険者(健康保険証の発行元)が加入者に行うものです。
それまで自治体で行われていた「住民健診」が特定健診に置き換わったところが多くあります。

メタボリックシンドロームに着目

内臓脂肪型肥満をきっかけに脂質異常、高血糖、高血圧が組み合わされて、心臓病や脳卒中になりやすい病態がメタボリックシンドロームです。
すなわち、生活習慣病になる前段階で見直しを図るための診断を行います。

診断は
腹囲(へそ周り)+[脂質/血圧/血糖]のうち2つ以上の数値該当
生活習慣に関する質問項目
によって行われます。
特に質問項目は生活習慣の改善効果が期待される項目が質問内容となっています。

特定健診の診断フロー

メタボリックシンドロームの診断基準
出典:政府広報オンライン https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201402/1.html

特定健診質問票(第3期)特定健診質問票(第3期):iD-Heart様式(標準帳票として搭載)

診断結果が「通知表」で通知される

診断基準に基づいて診断された結果は「通知表」という様式で受診者へ提供されます。
通常の健康診断と同様に過去歴や検査異常値が表されていますが、各検査項目結果の判定は行われません。
メタボリックシンドロームの判定(記載)が重要であり、該当となった場合、特定保健指導の該当者となります。

特定健診結果票(第3期)特定健診結果通知票:法定様式(標準帳票として搭載)

特定保健指導とは

特定健診の結果、メタボリックシンドロームの該当者や予備群の方は、生活習慣改善の必要性について判定されます。
運動習慣や食生活の改善、喫煙の見直しなど、生活習慣改善のためのアドバイスを行い、内臓脂肪を減少させ、生活習慣病の予防・改善に繋げていきます。
これが特定保健指導です。
生活習慣病の発症リスクが高い方に対して、医師や保健師、管理栄養士による指導が行われます。
情報提供/動機づけ支援/積極的支援とリスクの程度に応じてグループ分けして行われます。

特定保健指導(第3期)目標達成シート:特定保健指導オプションに搭載

特定健診・特定保健指導の見直し

これまで特定健診・特定保健指導の内容は何度か見直しされています。
年単位で結果検証を行い、内容の見直しなどが行われました。
第4期の見直しとなる今回、新たな効果検証を始めるための変更点が発表されました。

~これまでの流れ~
第1期 2008年度〜2012年度
 基本事項の制定
第2期 2013年度〜2017年度
 HbA1cをJDS値からNGSP値へ変更 など
第3期 2018年度〜2023年度
 健診項目にnon-HDLコレステロールや随時血糖での判断が追加 など
第4期 2024年度〜2029年度(予定)
 特定健診項目の見直し、アウトカム評価の導入 など

特定健診 第4期の見直し

主な変更ポイントは以下の通り
・標準的な質問と選択肢の変更
喫煙」「飲酒」「飲酒量」「保健指導の希望」について質問の表現方法、回答選択を細分化等の見直しがされました。

飲酒に関する質問飲酒に関する質問(クリックすると大きく表示します)

飲酒量に関する質問飲酒量に関する質問(クリックすると大きく表示します)


喫煙に関する質問喫煙に関する質問(クリックすると大きく表示します)

・中性脂肪を空腹時と随時に区別
食事の影響が大きい中性脂肪に随時採血基準が追加され、「空腹時中性脂肪」「随時中性脂肪」と区別されます。

 中性脂肪 空腹時150mg/dl 随時175mg/dl

特定保健指導 第4期の見直し

支援の評価ポイントがプロセス(過程)評価」と「アウトカム(結果/成果)評価」に分かれ、これまで以上に実績を重視する考え方になります。
また、これまで実地指導が基準となっていたものがICTでの支援も可能となり、これまで以上に指導する側、される側に身近な制度へと生まれ変わります。

プロセス評価
初回面接の早期実施もプロセス評価として判断されます。また、分割実施も条件が緩和されて健康診断実施1週間以内であれば認められるようになります。
支援方法としてICT活用も同水準として扱います。
これまでの時間に比例したポイント制ではなく、介入1回ごとの評価で計算します。

アウトカム評価
主要達成目標を「腹囲2㎝・体重2kg減」とし、生活習慣病予防につながる行動変容(食習慣、運動習慣、喫煙、休養習慣の改善)、「腹囲1㎝・体重1㎏減」を、その他の目標に設定して実績へとつなげます。

今回の見直しにより「支援A」「支援B」は廃止、「モデル実施」も廃止されます。

outcomepoints評価ポイントの一覧
参考:保健指導リリースガイド
https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2023/012088_3.php

健診システムでの対応

特定健診・特定保健指導の見直しについて、健診システムでは問診票の変更、判定基準の変更が必要となります。
また、特定保健指導の記録方法が大きく変わるため、画面インターフェースの変更も必要となります。
個別に開発されたシステムの場合、変更も個別対応となり、医療機関様にとっては費用面でも大きな負担となります。
パッケージソフトウェアの場合はメーカー(ソフトウェアベンダー)は一括して対応できるため、医療機関様にとっての費用負担は小さくなります。
詳しくはそれぞれのメーカーへ確認してください。

 

まとめ

特定健診・特定保健指導の見直しにともなう基準変更は医療機関様にとって大きな負担となります。
変更となる基準の把握はもちろん、受診者への対応についても、スタッフ間での情報共有も必要です。
それぞれの変更点を把握した上で第4期への対応を進めましょう。

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