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COLUMN コラム

2024.11.4

医療DX到来!健康診断・人間ドックはどう変わる?

この記事の著者

執筆者

iD-Heartコラム担当

医療情報技師、ITコーディネータ、マーケティング担当が執筆します。

医療現場のデジタル化を推進する「医療DX」。
マイナンバーカードやオンライン資格確認システムの導入、電子カルテの普及、データヘルスなど、その波は確実に広がってきました。
政府は、診療報酬改定においても、医療DXを後押しするべく、関連する加算の大幅な見直しを行っています。

今回のコラムでは、政府の進める医療DX施策と健康診断/人間ドックへの影響について解説していきます。

医療DXの概要

医療DXとは、保健・医療・介護のあらゆる場面で生まれる情報やデータを標準化し、クラウドなどの基盤で共有・活用することで、国民一人ひとりに最適な医療・ケアを提供しようという取り組みです。

データヘルスはその取り組みの一つです。
データヘルスとは
特定検診制度やレセプト(診療報酬明細書)の電子化によってデジタル化されたビッグデータを分析し、健康増進や病気の予防に活用しようとする取り組みのことです。

医療DXは単なる医療現場のIT化ではなく、 国民の健康寿命を延ばし、社会保障制度を持続可能なものにするという、日本の未来をかけた社会変革といえます。

■医療DXが目指す5つの未来

  1. 国民の健康意識向上と健康増進
  2. 質の高い医療を途切れることなく効率的に提供
  3. 医療機関の業務効率化
  4. システム人材の有効活用
  5. 医療等情報の2次利活用

医療DX推進の3つの柱

  1. 全国医療情報プラットフォームの創設: 全国の医療情報を一元的に管理・活用する基盤
  2. 電子カルテ情報の標準化: 医療機関間での情報共有をスムーズにする
  3. 診療報酬改定DX: 診療報酬請求のデジタル化による効率化

医療DXは、これらの柱を軸に、「医療DXの推進に関する工程表」に基づき着実に進められています。

医療DXの各施策

医療DXは、国民の健康寿命延伸と社会保障制度の持続可能性を確保するために、様々な取り組みが進められています。ここでは、未来の医療を支える柱となる主要な施策を4つのカテゴリーに整理して解説します。

■基盤となるシステム

  • オンライン資格確認: マイナンバーカードを健康保険証として利用。患者の医療情報に基づいた、より適切な医療提供を実現します。
  • 電子カルテ情報共有サービス: 全国の医療機関・薬局間で電子カルテ情報を安全に共有。患者の診療情報や健康診断結果を共有し、より適切な医療につなげます。
  • 標準型電子カルテシステム: 全国医療情報プラットフォームと接続可能な電子カルテシステムの標準化。民間サービスとの連携も促進します。
  • 介護情報基盤の構築: 介護サービス利用者の情報を関係者間で共有。本人同意に基づき、質の高い介護・医療サービス提供を目指します。

■効率化・標準化

  • 電子処方箋: 電子的に処方箋を運用。複数の医療機関・薬局間での情報共有により、重複投薬などを防ぎます。
  • 公費負担医療制度のオンライン資格確認: マイナンバーカードを公費負担医療の受給者証としても利用可能にすることで、手続きを簡素化します。
  • 診療報酬改定DX: デジタル技術を活用し、医療機関の診療報酬請求業務を効率化。共通算定モジュール開発や公費負担医療情報のマスタ作成などが進められています。

■予防・健康増進

  • 予防接種事務のデジタル化: マイナンバーカードを活用したオンライン予約や予診票入力、自治体への請求オンライン化など、予防接種に関する手続き全体をデジタル化します。

■研究開発

  • 医療等情報の二次利用: 個人情報保護に配慮しつつ、医療等情報を医学の発展に活用するための環境整備が進められています。

これらの取り組みは、医療現場の負担軽減、医療サービスの質向上、国民の健康意識向上などに繋がり、日本の医療の未来を大きく変えていく可能性を秘めています。

医療DXのメリット

医療DXは、患者、医療関係者、そして社会全体に、様々なメリットをもたらします。医療DXは、医療現場の課題を解決し、国民一人ひとりが、より質の高い医療を、より身近に、安心して受けられる社会の実現を目指しています。

■医療を受ける側のメリット

  • 待ち時間短縮: オンライン資格確認や電子処方箋により、医療機関での待ち時間や手続きが簡略化されます。
  • 質の高い医療: 医療機関間での情報共有が進み、過去の診療情報や薬の処方歴などを医師が正確に把握することで、より適切な診断・治療を受けやすくなります。
  • 健康意識の向上: マイナポータルで自身の健康情報や診療履歴を簡単に確認できるようになり、健康管理への意識が高まります。
  • 利便性向上: オンライン診療や電子処方箋により、場所や時間に縛られずに医療サービスを受けやすくなります。

■医療を提供する側のメリット

  • 業務効率化: 電子カルテやオンライン資格確認の導入により、事務作業の負担が軽減され、本来の業務である診療に集中できます。
  • 医療連携の円滑化: 地域医療連携ネットワークを通して、他の医療機関や介護施設と患者の情報を共有し、スムーズな連携が可能になります。
  • 診療の質向上: 最新の医療情報や研究データなどを容易に入手できるようになり、より質の高い医療を提供できる環境が整います。
  • 経営効率化: 業務効率化や医療連携の推進により、医療機関全体の効率性が高まり、経営の安定化に繋がります。
  • 人材不足の解消: 業務効率化や働き方改革を進めることで、医療従事者の負担を軽減し、人材不足の解消に貢献します。
  • 研究開発の促進: 匿名化された医療データなどを活用することで、新たな治療法や新薬の開発、病気の原因解明などの研究が大きく進展します。

■社会全体のメリット

  • 医療費の抑制: 予防医療の推進や医療現場の効率化などにより、医療費の増加抑制に貢献します。
  • 健康寿命の延伸: 国民の健康意識向上や質の高い医療の提供により、健康寿命の延伸に繋がります。

医療DXは、医療現場の課題を解決し、国民一人ひとりが、より質の高い医療を、より身近に、安心して受けられる社会の実現を目指しています。

特定健診と医療DXの関係

特定健診は、メタボリックシンドロームの予防と早期発見に特化した健康診査です。
データヘルス改革によって、データ活用シーンが広がっています。
特定健診結果はXMLデータ形式で報告されており、そのデータは全国どこでも医師などに共有される仕組みづくりが行われています。
ただし、個人情報のキーとなるものは保険証番号であるため、保険証が変わった際のデータ連携については不明確な点があります。

健診/人間ドックとの関係

2024年11月現在、健康診断(主には企業健診)や人間ドックの結果は医療DXに反映されていません。
企業健診は、労働安全衛生法に基づき、企業が従業員に対して実施することが義務付けられているものであり、特定健診とは異なります。
また、個人が自主的に受ける健診結果も反映されません。
これには複数の原因があります。

■主に考えられる理由

  • 個人情報が特定できない: 受診者情報と保険証情報が合わせられない。
  • 個人特定が困難: マイナンバーでの突合が難しい
  • 健診結果の時系列管理が困難: 医療機関側から情報共有ができない。
  • 情報管理が難しい: 受診者が所属していない時期の健康診断結果を企業も持っておらず、あくまでも受診者個人の管理となる。

個人が持つデータ(健診結果)を個人がデータベースに登録して利用することは、現時点では困難と言えます。
それぞれが持っている情報の形態が異なるため、一元管理は現実的ではありません。

そこで政府は医療機関や健診期間でデータが作成される時点で共有させる方法、すなわち、マイナンバーをカギとして電子カルテの情報を共有する方法と同様の方式を検討しています。

トップ

厚生労働省ホームページ 医療DXについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/iryoudx.html

健診システムで想定される今後の対応

現時点でも健診システムには保険証情報の登録する項目があります。
今後はこれに加え、マイナンバーの登録が必須となると思われます。
その際にはオンライン資格確認等システムネットワークとの連携が求められる可能性があります。
データ収集にあたっては電子カルテ等と同様に標準フォーマットが求められます。
独自のドックなどを提供されている施設などでは標準フォーマットへの変換が求められるなど、医療機関に負担がかかると思われます。
また、現状、集団健診などでは資格確認等行われていません。
集団健診業務の煩雑さを見ると、資格確認等のプロセスが入ることでスタッフの負担などが増大することが想定されています。

さらに、個人情報保護やセキュリティ対策など、解決すべき課題も多く、国民への丁寧な説明と理解促進が不可欠です。
データ共有だけでなく、業務効率を落とさない対応ができるよう各メーカーが取り組んでいく必要があります。
詳細については、各メーカーにお問い合わせください。

まとめ

国民ひとりひとりが自身の保健医療情報をPCやスマホなどから閲覧・活用可能になるような仕組みづくりも始まりました。
これらは医療DXの中でも重要な事項であり、未病(健康な状態)でのデータとしてデータヘルス改革の中で活用されようとしています。
健診システムにも医療DXへの対応が求めらていきます。
 医療DXは進化の途上にあり、今後さらに新たな技術やサービスが生まれてくる可能性があるので注目していきましょう。

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